工場においては、従業員が安全に作業を進めるための様々なルールが「労働安全衛生法」に基づいて定められています。作業中の安全性を確保することはもちろん、快適な職場環境をキープしたり、健康診断を実施したりすることで、従業員の健康に配慮することも、労働安全衛生法に基づいて定められているルールの一環です。
ただし、事故を未然に防ぐためにはルールを定めるだけでは不十分です。従業員1人ひとりが、高い安全意識を持って作業にあたらなければなりません。従業員が高い安全意識を持つために、多くの工場で活用されているのが安全標語です。スローガンを5・7・5の形式でまとめたものを指します。
スローガンとは、「常に基本を忘れずに作業をしよう」や、「危険な行動を見かけたら互いに声掛けをしよう」といった短い言葉のことです。これを、「作業中 常に基本を 忘れずに」「危ないよ 互いに声を 掛け合おう」というように、5・7・5の安全標語にしたものはよく目にすると思います。なぜスローガンのままではなく、わざわざ安全標語に変更するのでしょうか?
理由の1つとして、5・7・5のリズムは記憶に残りやすいことが挙げられます。日本人はかつて、5・7・5の俳句や5・7・5・7・7の短歌を好んでいました。特に短歌は、コミュニケーション手段として用いられるケースも多く、貴族の間では短歌を詠めることが、嗜みとされていました。こうした古来の歴史に由来するのか、現代の日本人も5・7・5の規則性のあるフレーズのほうが、不規則なフレーズに比べて覚えやすいです。
スローガンは台本やマニュアルのように、常に目で見て作業をするものではありません。必要な瞬間に、頭に思い浮かぶことが大切です。
5・7・5のリズムは口に出した時の心地よさも、不規則なフレーズとは段違いです。記憶しやすく、口にした時に心地よい。この2つの理由によって、スローガンはそのままの形ではなく、安全標語に変更することが多いのだと考えられます。
もちろん、ただ作るだけでは意味がありませんから、多くの工場では、安全標語を壁に掲載したり、毎朝声に出して読み上げたりすることで、記憶に定着するよう工夫しています。安全標語を記憶し、必要な瞬間に頭に思い浮かべられるようにすること。これにより、従業員1人ひとりが高い安全意識を持って、作業に臨むことができるのです。
従業員の安全意識を高めるため、安全標語が効果的であることは分かりました。しかし、職場にふさわしい安全標語を考案するのは、意外にも難しいものです。そのような時は、安全標語自動作成のツールを利用してはいかがでしょうか?更新ボタンを押すだけで、安全標語を作成できます。作成された安全標語のうち、職場に合ったものを採用することで、従業員の安全意識を高める一助になるでしょう。
一部のみ自分達で考えたワードを固定して、残りのワードを追加する形で安全標語を作成することも可能です。いろいろ試してみてください。
« 「計測器」の点検・校正の重要性